<シンポジウム> メインテーマ「秘められた南山城の地名を探る」

シンポジウムの冊子  編集後記 から

 京都地名研究会の第6回例会は、特別企画による公開シンポジウム「秘められた南山城の地名を探る」を京田辺市で開催されることになりました。今回のシンポジウムは、南山城の歴史の謎に迫るべく南山城スペシャルとして神功皇后や継体天皇などの研究者として最先端を走っておられる堺女子短期大学の塚口義信学長やこの地域を研究しておられる京都地名研究会員をパネリストとしておこし頂きそれぞれ専門の分野から報告して頂くことになりました。

南山城には、かなり古くから渡来人によって先進的な文化が伝わり栄えたといわれています。特に筒木の原や普賢寺谷では、神功皇后や仁徳天皇それに継体天皇などが居住していたといわれ、記紀などに明記されています。また、今まで神話と言われていた大筒木垂根王や大筒木真若王それに迦邇米雷王などの時代においては、平安時代に作られた『竹取物語』に「迦具夜比売命(かぐや姫)」がいて実在の皇后であるなど最近興味ある発表が地元の郷土史会から報告されています。

この冊子は、メインテーマ「秘められた南山城の地名を探る」における基調講演とシンポジウムのレジュメ及び資料として作成いたしました。編集担当者としては、当初レジュメのつもりで取りかかったのですが、先生方の熱意により沢山の貴重な資料をご提供いただき立派な冊子(別冊1号)に仕上げることが出来ました。各先生方のご協力により貴重な研究資料を提供して頂きましたことを、この場を借りてお礼申し上げます。

 この冊子が南山城地域における歴史解明の為の資料として役立てることが出来れば幸いです。

発刊に際して

            京都地名研究会第六回例会 京田辺市郷土史会合同

京都地名研究会代表 吉田金彦                                             次

 

【シンポジウムの概要】メインテーマ「秘められた南山城の地名を探る」 ・・・・・・・・ 1

   【基調講演】   

テーマ「神功皇后伝説のふる里を探る―南山城の“息長(おきなが)”の地名を手がかりとして―塚口義信

テーマ「竹取物語ゆかりの筒木について」小泉芳孝

テーマ「南山城の神社と伝承について」石田天祐

【シンポジウム】     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3

冒頭コメント テーマ 「つぎねふ山代と河内との関係

− 地名から仁徳・継体の筒城行幸の跡を考える −」 吉田金彦

パネリスト「流域をめぐる史跡・伝承」 斎藤幸雄

シンポジウムの司会「新しい視点と展開に期待」古川 章

 

【基調講演の内容】  

「神功皇后伝説  ―その虚実を探る    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

                      塚口義信 堺女子短期大学 学長(日本古代史・文化人類学)

神功皇后伝説の研究 『日本大百科全書』 / 歴代天皇の名(皇位継承関係 古事記による)

『古事記』仲哀天皇の段 / 神功皇后の新羅親征 /忍熊王の反逆 / 倭王武の上表文

【図表】神功皇后伝説 −その虚像を探る−古事記交渉年表・神功皇后関係系図・日子坐王系図関係地図 ・・10

(『木津町史』より)・三輪山周辺の古墳群と佐紀楯列古墳群・息長日子坐王系譜氏

鎮懐石伝説              ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・13

如意珠  『八幡宇佐宮御託宣集』/ 香椎宮関係記事               ・・・・・・・・・・・・・・・15

海神遊幸神話 火遠理命『古事記』 / 日向三大の系譜(天照大御神の系図)    ・・・・・・・・・18 

本居宣長説 / 長谷川福平説 / 太田亮説 / 折口信夫・西角井正慶説 / 京口元吉説 / 肥後和男説 / 

田中 卓説 / 直木幸次郎説 / 岡本堅次郎説 / 黒澤幸三説 / 水野祐説 坂本太郎・家永三郎・井上光貞・

大野晋 校注『日本書紀上』 / 角川源義説 / 和歌森太郎説 / 上田正昭説 / 林屋辰三郎説 / 

今井啓一説  / 梅田義彦説 / 倉塚嘩子説 

【参考文献・図表】『風土記』における神功皇后関係記事一覧表・天皇家・蘇我氏関係系図 

「王権発達史の伝説」は五世紀初めに存在した『毎日新聞』1981年12月24日夕刊  /  滋賀県全図    ・・ 29

大和北部と山城南部の政治勢力 −佐紀楯列古墳群の謎をさぐる−

      ヤマト政権の成立と王権の推移 / 中枢勢力の基盤は一貫して奈良盆地南部にあった /

佐紀の政治集団の勢力基盤(木津川・淀川水系の重要性・日子坐王系譜の意味するもの・

佐紀と山城南部・忍熊王の勢力圏)・・・『日本古代史「王権」の最前線』新人物往来社1997年7月

天之日矛伝説の謎を探る              ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35

      天之日矛の渡来 / 秋山の神と春山の神 / 時じくの香の木の実

○歴代天皇の一覧表 『日本書紀』垂仁天皇二年是歳および三年の条 

      任那人と新羅人の抗争井上光貞監訳『日本書紀』中央公論社、による) ○開化系図 ○天之日矛系図

○真人姓氏族の始祖一覧表 ○息長古墳群の図 ○意富富杼王のウジ名  ○八幡宇佐宮御託宣集

○『延喜神明名式』田川郡の条 ○古代交通図  ○『興福寺官務血牒疏』所引の「普賢寺補略録」

○朱智天皇神 ○日岡神社・・『播磨国風土記』賀古郡の条、『播磨国風土記』賀古郡比礼墓の条 

○麻打山『播磨国風土記』揖保郡の条

応神天皇と気比大神            ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・47    

    『日本書紀』応神天皇即位前の条 『日本古典文学体系』本による

     『日本書紀』仲哀天皇即位前の段 『日本古典全集』本による

   后紀と御子 / 角鹿の気比大神 / 酒樂の歌

『日本書紀』神功皇后摂政十三年の条

十五歳の「衆議入り」・・『日本の民俗』(熊本)牛島盛光 昭和48年5月

通過儀礼の「成年式」

初期ヤマト政権と四道将軍の伝承      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・51

      四道将軍の伝承 /  神武天皇の系図

     「王権発達史の伝説」に関する津田左右吉氏の説(『日本古典の研究』上 『津田左右吉全集』第一巻、所収)

     井上光貞氏の説(オオビコ=四道)将軍の一人の大彦命、とする説の根拠・・「古代の東国」『万葉集大成』歴史社会篇、所収

        稲荷山古墳の鉄剣銘文実測図・・『日本の古代遺跡』埼玉 金井塚良編著、による

ヤマト王権の謎をとく・・『ヤマト王権の謎をとく』塚口義信 学生社1993年より          ・・・・・・・・・57

     稲荷山古墳の鉄剣銘文

 江田船山古墳出土の鉄刀銀象嵌銘(熊本県玉名郡菊水町)・・田中卓氏の訓みによる / 従来の説(福山敏男氏の説による)

   【参考資料】『やまと王権の謎をとく』滑w生社から         ・・・・・・・・・・・・・・・ 59

           神功皇后伝説と息長氏 / むすび / 佐紀西群の勢力圏 / 日子坐王系図 /

       継体天皇と山城南部の息長氏 / 初期ヤマト政権と山城南部

 

 

「竹取物語ゆかりの筒木について」   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 71
小泉芳孝 京田辺市郷土史会理事 葛椏s放送(日本民俗学 郷土史家)

はじめに

迦具夜(かぐや)比売(ひめの)(みこと)かぐや姫)の大筒木(おおつつき)

1.継体天皇の筒城と磐之媛(いわのひめ)の筒木    2.朱智神社と息長氏

3.山代の地名と息長山普賢寺            4.酒屋神社と神功皇后伝承

『竹取物語』の舞台は京田辺             ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 78

1.「竹取の翁」の家は、「山もと」の近く 

2.『竹取物語』の 「かぐや姫」と『古事記』の「迦具夜比売命」

3.「竹取の翁」の名は、「さかき」で「さか」は酒    4.「大住隼人」の呪術と竹細工

5.不死の山は、京田辺の「甘南備山」   6.『竹取物語』の作者は、紀長谷雄

おわりに         ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 84

【参考文献】『京都新聞』記事から

【参考資料】

『古事記』『日本書紀』の開化・崇神・垂仁天皇関係系図(門脇禎二氏作成のもの)  

『山城国綴喜郡筒城郷朱智庄佐賀庄両惣図』』  

  

 

「南山城の神社と伝承について」     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 88
石田天祐 日本語語源研究会 潟Mルガメシュ(幻想創作家 相撲史研究家) 

 設 問

1. 仁徳天皇の皇后のイハノヒメは・・・なぜ・・・のか

        2.武内宿弥の子 葛城襲津疲彦は・・・なぜ・・・のか

        3.武内宿弥は・・・五天皇に大臣として仕える・・・なぜ・・・のか

        4.倭の五王・・・なぜ・・・のか

   取り上げる地名、神社、人物

1.日向の「曽」の峰  2.ソウル。ソボル  3.添御県坐神社  4.押熊八幡宮

5.奈良豆比古神社  6.往馬坐伊古麻都比古神社 7.相楽神社 8.佐牙神社 

9.須須許理  10.弓月の君   11.神功皇后  12.多々良公 13.酒屋神社

14.山崎神社  15.武内神社  16.朱智神社   17.田辺廃寺跡

キーフレーズ                     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 89

1.ARA 2.集落 3.添 

結 論              ・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ 90  

【参考資料】 『イザナミの言語学』潟Mルガメシュ出版局から

朱智神社   /  佐牙神社の京都相撲   /  酒のことはじめ 

 

 

【シンポジウム冒頭コメント】

つぎねふ山代と河内との関係     ・・・・・・・・・・・・・・・・・ 95

− 地名から仁徳・継体の筒城行幸の跡を考える − 

                        吉田金彦 日本語語源研究会代表 姫路独協大学名誉教授

迷走した枕詞の諸説   /  山代と開木代の意味  /  山背の意味と語源

ツギネフは嶺の後ろ側を通る意味  /  筒城の語源と変化

宇頭城という地名  /  継体天皇の筒城遷都と樟葉宮の位置

【参考資料】つぎねふ又つぎねふや『枕詞の研究と釈義』 /  つぎねふ『国語大辞典上代編』 /   ・・ 107

         都藝泥布『古事記』下巻  /  つぎねふ『古代歌謡全注釈』石之日売皇后の嫉妬 /

               つぎねふ『日本書紀 巻十一 仁徳天皇三十年』 /

筒木の原『和名抄』『万葉集』『玉吟集』 /  筒木の宮『古事記』『日本書紀』

 

パネリスト

流域を巡る史跡・伝承     ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 116

斎藤幸雄 −緑と教育と文化財を守る会(城陽市)副会長、枚方文学の会会員

1.南山城逃避行現象

           大友皇子異説 / 葛城王朝亡命政権(彦坐王異説) / 継体天皇は / 大山守皇子の場合

2.「水」を視点に               ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 117

          神功皇后伝説(息長伝承)/ ワニ氏の伝承 / 船長伝承 / 武埴安彦伝承 / 亀石伝説

              (参考図面)「古代天皇・和珥氏・息長氏等関係系譜」 

          【参考資料】 『木津川歴史散歩−南山城をめぐる』(梶jかもがわ出版から    ・・・・・・・・ 122 

          継体天皇旧跡−筒城宮跡@(田辺) /  磐之媛旧跡A(田辺) /  飯岡・甘南備寺(田辺) 


   会 則                              ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 132

「京都地名研究会」設立の趣旨   代表理事 吉田金彦           ・・・・・・・・・ 133

「京都地名研究会」発足にあたって 設立総会挨拶から 代表理事 吉田金彦

「京都地名研究会」役員

入会・問合せ先

『会報』原稿応募要領

編集後記                   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 136

    

別冊1号(京都地名研究会)

シンポジウム 

「秘められた南山城の地名を探る」

       平成15年10月 1日印刷

          平成15年10月10日発行

   発行 京都地名研究会

   編集  京都地名研究会常任理事 小泉芳孝

  編集協力 京田辺市郷土史会 

           【京都地名研究会代表理事】

600-8429 京都市下京区御供石町360
                      日本語語源研究所 吉田金彦

【京都地名研究会事務局】
           〒617-0002 向日市寺戸町二枚田12-46 綱本逸雄
気付
           Tel&Fax 075-933-5667 E−mail:nimaida@nifty.com  

【京都地名研究会HP】http://chimei.hp.infoseek.co.jp/

HP担当  広報係 小泉芳孝  

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